アイヌ語で自然かんさつ図鑑
キハダ
アイヌ語 / 語源
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【アイヌ語名】シケㇾペニ/sikerpeni【日本語名】キハダ
アイヌ文化
この木の実は、イオマンテ(クマの霊送り)などの儀式の際の料理に使ったり、あるいは薬とするなど、さまざまに利用されました。
食用
秋に実を採集して生で食べたり、干して保存しておき、ラタㇱケㇷ゚という煮物に入れて食べました。また、実を煮詰めた汁を使って煮豆を作りました(帯広・本別)。
薬用
内皮の黄色の部分は、胃の調子が悪いときに生のままや干したものを噛んだり、皮を煎じて飲んだりしました(帯広・本別)。
また、カゼをひいたときに実を煮詰めたものを飲むと効果があると言われていました(帯広・本別)。
生活
幕末に松浦武四郎が元札内付近(現在の中札内村)を通ったとき、チセ(住居)がこの樹皮でふかれていたという記録があります。
また、樹皮を大きくはいで折り合わせ、即席の川舟を作っていました。上士幌町ひがし大雪博物館には、この樹皮舟の複製が展示されています。
自然観察
北海道のミカン科の植物の中では唯一大木(25mくらい)になります。別名シコロといいます。
樹皮はコルク質が分厚く弾力があり、この下の内皮があざやかな黄色であることが種名の由来です。この内皮が胃腸薬の原料として利用されるほか、花はハチミツの蜜源として利用されるなど身近な植物の一つです。雌雄異株なので雌株にのみ果実が実ります。実は熟すと黒くなり強い柑橘臭があり、若葉にも同様な匂いがあります。
この葉はアゲハチョウ類の食草なので、観察すると幼虫が見つかることがあります。