アイヌ語で自然かんさつ図鑑
ヨモギ
アイヌ語 / 語源
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【アイヌ語名】ノヤ/noya【日本語名】ヨモギ
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【アイヌ語名】ノヤニッ【日本語名】ヨモギの茎
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【アイヌ語名】ノヤハㇺ【日本語名】葉
アイヌ文化
伝承
ヨモギはこの世に最初に生えた草と言われ、とても霊力の強い草として考えられていました。このため、各地で食用のほか、魔除けに利用されました(知里)。
食用
葉を穀物やイモなどのだんごやもちに混ぜて食べました(帯広)。
また、若い時期に葉を採集し、ゆでてから平らに固めて干して保存しました(本別)。
薬用
夏、カが多いときなど、虫除けに半乾きのヨモギを炉にくべて煙を出していぶしました。こうすると虫が入ってこなくなったそうです(帯広)。
ヨモギの葉は、各地で傷薬として利用していました。切り傷にヨモギの葉をかんでから手で揉み、それを傷口に張り付けて紐などでしばりました(帯広)。また、ハチに刺されたとき、葉をかんでそれをはれたところにすり込みました(帯広)。
生活
茎は小魚を干すためのサキㇼ(串)として利用しました(帯広)。
信仰
数本を束ねて、家の入り口の両側にぶら下げました。こうすることで、悪い神が入ってこられなくなると考えられていました(帯広)。
また、病人が出たとき、ヨモギとササやトゲのあるタチイチゴなどを束にし、これで病人を軽くたたくようにはらいました。こうすることで、病気の原因となっている神を病人から払いのぞくことができると考えられていました(帯広)。
自然観察
キク科の植物で、目立たない花が咲き、ホコリのように軽い果実がたくさん実ります。根は越冬し、毎年繰り返し生育しながら群落になります。
北海道のヨモギ類は、亜種や変種を含め20種以上ありますが、その中でオオヨモギがもっとも普通に見られます。食用のほか薬用としても広く知られますが、猛毒のトリカブトと似ているため、注意が必要です。ヨモギ類の多くは、葉の裏に長い毛が密生する特徴があり、この毛がお灸に使う「もぐさ」の原料です。トリカブトには毛が密生していません。
ヨモギ属の学名Artemisia は健康を守護する女神アルテミスに由来し、その薬効は古くから広く知られていたことがうかがえます。