アイヌ語で自然かんさつ図鑑
エゾタヌキ
アイヌ語 / 語源
-
【アイヌ語名】モユㇰ/moyuk【日本語名】エゾタヌキ
-
【アイヌ語源】モユㇰ【意味】⼩さな獲物
アイヌ文化
⾃分で巣⽳を掘るのが苦手とされているエゾタヌキは、エゾヒグマの巣⽳なども利⽤することなどから、道東ではヒグマの叔父、叔母とされています。
本別でもキムンカムイコラチャ(ヒグマの叔⽗さん)と呼ばれていますが、それは脂肉が熊の脂に似てるからだそうです。
本別では、山で捕ったときはイナウコレ(木弊を持たせる)して魂を送りましたが、ヒグマのように檻に入れて育てることはしませんでした。⾜寄ではモユㇰオマンテ(タヌキの霊送り)が⾏われるなど、⼈々に⼤事に扱われていた様⼦がうかがわれます。
自然観察
日本を含むアジア東部に生息するイヌ科タヌキ属の動物で、タヌキ属にはタヌキ1種しかいません。エゾタヌキはその北海道産亜種です。自然や人工の穴状の地形を巣としますが、自分では巣穴は掘りません。北海道では西部を中心に広く分布し、十勝では海岸や山地で見られますが平野部ではややまれです。果実や昆虫をおもに食べる雑食性で魚やヘビ、農作物も食べます。複数の個体が同じ場所で糞をする「ため糞」という行動があり、これは近隣個体との情報交換の場所と考えられています。ダニの寄生によって体毛が抜けた「疥癬症」(ヒトも罹患します)の個体を見かけることがあります。