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アイヌ語で自然かんさつ図鑑

キタキツネ

アイヌ語 / 語源

  • 【アイヌ語名】チロンノㇷ゚/cironnop【日本語名】キタキツネ
  • 【アイヌ語源】チ-ロンノ-ㇷ゚【意味】私たちがたくさん殺すもの
  • 【アイヌ語名】ケマ-コㇱネ-カムイ(別名)【日本語名】脚の軽い神

アイヌ文化

キツネは名前からもわかるように、かなり多く捕獲されていたと思われます。おもに毛皮が目的ですが、頭骨はお守りとしても利用されました。

キツネは耳や鼻がきくので、捕獲するには足跡を探して地形と風向きを見ながら追いかけたそうです。また、キツネの姿をみたときに頭をくるくると回しているのを見たら、人の匂いを感じ取ったしぐさなので、近づく方向を変えなければならなかったそうです(帯広)。

食用・生活

肉を食用にし、毛皮は交易に使ったり、衣服の材料にしました(帯広・本別)。

信仰

キツネは秋から冬にかけて捕獲しましたが、頭骨はキケ(削り掛け)で飾り付けて保管しておいて、春にまとめてヌサ(祭壇)に頭骨を納めました(帯広・本別)。

伝承

キツネが何かをくわえているのを見たら、キツネを捕まえてそのくわえているものを取らないと見た人の魂を取ると言われていました。また、粗末にすると恨まれて障りがあるとも言われました(本別)。
キツネは昔、白色や黒色でしたが、カワウソをだましたため、そのお返しに体にサケの筋子を塗りつけられてしまいました。このため赤茶けた色になったそうです(吉田-音更)。

儀礼

春先に幼獣を捕まえておいて、秋まで飼育してイオマンテ(霊送り儀礼)を行いました(帯広・本別など)。

自然観察

北海道では身近なイヌ科の野生動物です。北アメリカからユーラシアに広く分布するアカギツネの北海道産亜種がキタキツネです。
地面に巣穴を掘って繁殖し、ネズミやウサギ、昆虫などが主要な食物です。雪や落ち葉の下のネズミを捕食するときは、頭を左右に回すように動かして位置を探り、高くはねて鼻先から飛び込み、前足で押さえつけて捕まえます。このほか、木の実、生ゴミ、畜産廃棄物や農作物も食べます。
体毛は明るい赤茶色ですが、黒色や、茶色と黒が混ざった個体がまれに見られます。
人獣共通感染症であるエキノコックス症は、キツネとネズミを宿主とする寄生虫の卵がキツネの糞を介して人間に寄生するものです。北海道にはもともと分布しない寄生虫で、外国産のキツネをより北方から千島列島に持ち込んだことがきっかけで広まったと考えられています。