アイヌ語で自然かんさつ図鑑
エゾユキウサギ
アイヌ語 / 語源
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【アイヌ語名】イソポ/isopo【日本語名】エゾユキウサギ
アイヌ文化
エゾユキウサギは、食用や毛皮のために数多く捕獲していました。また、身近な動物でもあったことから、ウサギが出てくる物語も数多くあります。
猟・伝承
植物のツルや針金を輪にしてウサギの通り道の立木にしばりつけておくと、この輪に頭を突っ込んで動けなくなるので、これを捕獲しました。肉は山菜とともに鍋で煮て食べたり、串に刺していろりで焼いたりして食べました。また、ウサギからはとてもおいしいダシがとれるそうです(帯広・本別)。
薬用
風邪のとき、乾燥したウサギの骨を煮出して飲んだり、あるいは肉を食べると効果があるという伝承があります(吉田−音更)。
生活
毛皮はおもに交易に使いましたが、質の悪いものは子どもの衣服にしました(本別)。
信仰
ウサギは秋から冬にかけて捕獲しましたが、頭骨をキケ(削り掛け)で飾り付けて保管しておき、春にまとめてヌサ(祭壇)やある特定の場所に持って行って頭骨を納めました(帯広・本別)。
伝承
山を歩いていてウサギが股をくぐって行ったら、悪いクマが後から来ているのを知らせていると伝えられていました(本別)。
また、野火で家が焼けそうなとき、ウサギの頭骨を火が来ている方へ向けて吊すと火が消えるという伝承もあります(吉田−帯広)
自然観察
エゾユキウサギは、ユーラシア大陸北部に広く分布するユキウサギの北海道産亜種(学名Lepus timidus ainu )です。
亜種名としてainu がつきますが、命名の意味は不明です。ペット用のカイウサギよりも体格が大きく体長50cm体重3kgくらいです。
低地から亜高山帯まで広く生息し、とくに造林地に多いようです。植林したばかりの若木や伐り株からのびた芽が、冬の重要な食物になるからかもしれません。
帯広市街地周辺では、昭和60年代までウサギが見られましたが、今はほとんど見られません。日高山脈など大きな山のふもとや、森林が残る丘陵地帯、海岸の原生花園などに生息しています。