アイヌ語で自然かんさつ図鑑
カシワ
アイヌ語 / 語源
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【アイヌ語名】コㇺニ/komni【日本語名】カシワ
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【アイヌ語名】ニセウ【日本語名】ドングリ
アイヌ文化
生活
カシワは十勝でよく見られる木です。丈夫な木なので家の柱や梁(はり)、炉縁(ろぶち)などに利用し、また枯れ木は薪に使うなどさまざまに利用されました。(帯広・本別)
食用
ドングリを採ってきたら、日陰にむしろを敷いてドングリを並べて置き、その上にまたむしろを敷いて水をかけます。これにたまに水をかけて乾かさないように1〜2ヶ月おくと渋みがとれるので、凍る前に皮をむいて湯通ししてから干して保存しました。(帯広)
食べるときはこれを水に戻し、つぶして油と塩、手亡豆を混ぜて食べたり、また、魚と煮て煮こごりのようなものを作って食べました。(帯広)
信仰
このカシワの木の神の名をコㇺニシㇼコㇿカムイ(土地を守るカシワの神)といい、家によってはこの神をヌサ(祭壇)に祭ることがありました(帯広)。
自然観察
十勝を代表する高木です。ブナ科で直径1m以上、高さ20mになります。通常は山地の稜線、海岸などの風当たりの強い環境に生育します。十勝では平野部に純林をつくりますが、これは千歳・北見地方とともに世界的にもめずらしい植生といわれます。
家具材や洋酒樽、炭材などに使われます。十勝では明治から大正時代にかけて、樹皮に含まれるタンニン(皮なめしに使う)を採取した時代があります。
良く似たミズナラとの違いは、カシワのドングリの帽子(総苞片)は長く毛羽立ち、葉の裏側には毛がびっしり密生するなどです。また、カシワのドングリの方が、ミズナラよりもアクが少なくて美味しいといわれます。
新芽はミドリシジミ類(チョウ)の食草、堅果はノネズミ類、鳥類はじめ多くの動物類の重要な食物です。