アイヌ語で自然かんさつ図鑑
エゾリス・シマリス・エゾモモンガ
アイヌ語 / 語源
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【アイヌ語名】ニウエオ/niweo【日本語名】エゾリス
ニウエオ意味は不明
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【アイヌ語名】エペシロ【日本語名】エゾシマリス
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【アイヌ語名】フーニ【日本語名】エゾモモンガ
アイヌ文化
猟・生活
アイヌの人たちにとって、エゾリスはあまり良いものではなかったようです。足寄では猟に行くときにエゾリスの姿を見たら、その日は猟を止めたということです。(知里)
足跡から巣を探し出し、巣穴のある木をたたいて、出てきたところを捕獲しました。肉は食用にして、毛皮は交易品にしました。(帯広・本別)
薬用
おしっこが近い場合は、この肉を食べるとよいといわれています。(本別)
伝承
エゾリスが家のそばに来て、それが歩いて山へ逃げていったら、その家は滅びるといわれていました。(本別)
信仰
リスを捕ると、頭骨をストゥイナウ(木幣)の頭にはさんで送りました。(帯広)
名称
道南や道央ではエゾリスをトゥスニンケといいます。これは「まじないをして消す」という意味で、リスが前足をすり合わせていたかと思うと、さっといなくなる仕草から付いたといわれています。
また、シマリスは帯広ではエペシロ、本別ではカセクㇽクㇽと呼ばれていました。足寄ではウェンコㇰ(悪いやつ)とも呼ばれていたそうです(知里)。
モモンガ
モモンガもリスの仲間です。アッまたはアッカムイと呼ばれ(知里)、十勝ではフーニともいいます。いくつかの地域で「⼦供をあやし、お守りする神」とされていますが十勝地方ではその伝承がありません。
自然観察
エゾリスはユーラシア北部に分布するキタリスの北海道産亜種で、体長22〜27cmです。
果実、葉、花、樹液、地衣類、キノコ、昆虫、動物の骨、小鳥の卵など、さまざまなものを食べる雑食性です。
針葉樹では、幹の股などに小枝や樹皮で球形の巣を作ります。樹洞の中に樹皮などの巣材を入れて巣にすることもありますが、樹洞は大きな広葉樹がある森に多く発生するため、「巣穴のある木をたたく」猟はおもに広葉樹林で行われたと想像できます。最近の市街地では餌づけの影響で個体数が急増し、人間への異常な接近や交通事故死が多くなりました。元来針葉樹が少なかった開拓期前の十勝平野では、現在ほど見かけやすい動物ではなかったと考えられます。
ユーラシア北部に分布するシベリアシマリスの北海道産亜種がエゾシマリスです。体長12〜15cmで、おもに地上に生息し背中に縞があります。
平地〜高山まで生息し、木や草の果実、昆虫、小鳥の卵などを食べます。冬も外で活動するエゾリスに対して、シマリスは地中の巣穴で冬ごもりします。その準備のため、秋に多くのドングリや落ち葉を巣穴に運び込みます。
ユーラシア北部に分布するタイリクモモンガの北海道産亜種をエゾモモンガといいます。体長15~16cmほどで、前後の脚の間の皮膜を使って木から木へ20~30mほど滑空できます。夜行性で、木の芽や若葉、果実、キノコなどを食べます。
樹洞に巣をつくり、成獣は日没後に巣の外に出て「ジュクジュクジュク…」と、虫のような声で鳴きます。巣の中の幼獣も盛んに鳴きます。その音域は人間に聞こえる限界に近い高さなので、人によって聞こえ方はさまざまです。