【20231115】終了しました
おかげさまで1191名の入場者となりました。
そして翌週すぐに撤収作業になりました。
「展示」といえば「見るもの」ですが、私たちにとっては「運んで展示し、片付けて整理」するものです。
「博物館の仕事とは、運ぶことと見つけたり」と誰かが言ってました。さて、来年度の収蔵美術作品展は、時期が変更になるかもしれません。お楽しみに。
【20231029】区切りのない展示
今回は4人の異なる作風の作品が、区切りなく、ひと続きに展示されています。
このため作家が隣り合うところの作品について、多少考えて配置しました。
まず、浦島作品と関口作品が接するところ。
ここは、人工物がある画像であり、平面で見る写真が続くので、純自然で立体感のある写真にしました。ただし、隣り合う画像に少し雪があるものにして、薄くつながりを出しています。
次は、関口作品と兼本作品の接する部分ですが、実はこれも同じ考えです。人工物がある画像が続いた後の純自然物。そして、山つながりです。
最後は辻川作品と浦島作品の接するところです。
これは、「中心がある」写真でつなぎました。
「展示作品の感想」で述べたように、浦島作品は中心に主な被写体を配置します。ですので、辻川作品でそのような構成の2枚を展示しました。
同じような構成なのに、いろいろな違いに気がつきます。ここはあえて書かずに、見る方の気持ちにおまかせします。
【20231027】展示作品の感想4
感想の最後は関口哲也さんです。
写真を選んでいる時から、画面構成の巧みさに唸っていました。
画像の奥から手前まで、上から下までの線や色彩を四角い画面の中に見出す力を感じました。写真の教科書のようです。遠くから見ても(受付に座っていても)、その立体感が伝わってきます。
ですから一番奥にこれらの作品を展示しました。
桜の写真の真ん中の枝のない空間に針葉樹を配置し、奥行きを生み出したり、雪がついた山から連なる木々の紅葉で手前の牧草地の緑に繋げるなど、単なる「奥行きのある」にとどまらない画面構成を感じて欲しいと思います。
これは映画の撮影所に勤務していた氏の経歴にも関係があるのかな、と想像しています。
【20231026】展示作品の感想3
3回目は辻川和夫さんの作品です。
ダイナミックな印象を受けました。
「静の中の動、道の中の静」
これ以上の説明はいらないかもしれません。
飛沫を止めることでかえって動きを感じさせたり、氷雪や緑の中で空気が漂ったり、人が歩いていた気配を感じたりする写真でした。
写真の中での静動だけではなく、その中にゆっくりした時間の流れ〜たとえば船が朽ちていく、堆肥が発酵していく〜も重ねて写しとっています。
この風景と時間の重なりが、よりダイナミックな印象を生んでいるのでしょう。
【20231026】展示作品の感想2
2回目は兼本延男さんの作品への感想です。
飛行機から撮った日高山脈の、スケールの大きな写真で知られる方ですね。写真からは、質量感と言ったらよいのでしょうか、画面が一つの塊(かたまり)として感じられました。
これを撮るために、ピントを深くし、露出を切り詰めることで、山や雲の表面の「手触り」を強調しています。それは、写真中の明暗それぞれのエリアの質感をつなぎ、大きなスケールの一体感を作り出している、と思いました。離れてみるとなおさら「明と暗」の対比が絵作りになっているように感じられます。
もう一つ、航空写真の印象が強いせいか、地上から撮った写真でも「空中を意識した視点」が潜んでいるように思えます。この稲妻の風景は、どうやて撮ったのでしょう。大判のカメラでシャッターを開けっぱなしにしてじっと待ち、光ったら閉じる。また、次のチャンスを待つ。そんな撮影風景を想像します。
貼り付けた画像は、室内の照明などの写り込みで、実際とは見え方が異なります。ぜひ実物の迫力を感じてください。
【20231025】展示作品の感想1
収蔵美術作品展「天と地の境界に」には4名の作家の作品を展示しています。
あまり写真に関心のない方にも、これらの作品に興味を持っていただきたいと思い、自分なりの感想で作品たちを紹介します。(あくまで筆者の感想です)
はじめはポスターにもなっている浦島甲一さんの作品です。ハルニレの写真も含め、中央に目立つ被写体を配し、地平線を意識させる構図が多いです。
普通は、中央に主役を配することはあまりしないのですが、あえてそうすることで、左右対称にしようとしてもしきれない自然の非対称性が、かえって美しさとして表現される妙があります。たとえば、ハルニレの枝のうねりや川霧の漂う空気などに見られます。
地平線は中央構図を強調するためのまさに大地として機能していて、自然の非対称性の美しさを際立たせています。展示タイトルのヒントもこういうところにありました。
それから中央に目立つ被写体をおかず、水平なラインを重層的に入れる場合もあります。雲、山脈、防風林、というように。そういう意味では十勝の一般的なイメージと最も近い写真のように思えます。上に貼った画像は、やや明るめに調整しており、実際の画像とは印象が異なります。ぜひ近くでご覧ください。
もう一つ、「トワイライト」な時間帯の薄暗い光線が画面の情報を減らし、作家が見せたいものだけが浮きでる手法が巧妙です。空気の密度が濃くなる効果も感じます。
この光線の時間帯は非常に短くて、チャンスはそう長くはありません。ベストを待つのではなく、「この時間からそろそろチャンスだな」と思ったら、どんどん撮りまくる……。そんな撮影風景を想像してしまいました。
【20231018】絶賛準備中
今回はシンプルに壁だけを使った展示です。そして4人の作風が異なる写真家の作品がうまく馴染むように配列したつもりです。10月20日から!
【20230923】『天と地の境界で』ポスターできました!
昨年のポスター展のブログを再利用して、収蔵美術作品展『天と地の境界(あいだ)で』特設ブログを開設しました。十勝を取った4名の写真家の当館の収蔵作品を展示します。10月20日~11月12日ですよ!